Auto Prescriptionとは、あらかじめ体型に応じてパラメーター(管電圧、最小/最大mA、SFOV、回転速度、ヘリカルピッチ、 ASiR-Vの強度)やNoise Index(以下NI)を設定することでスカウト情報より患者サイズを認識し、自動的に最適な撮影条件が選ばれる機能になります。
自動露出機構である3D mA ModulationはmAの変調のみであったのに対し、Auto Prescriptionを併用することによって体型ごとにターゲットとするSDすなわちNIや、回転時間やヘリカルピッチなどを設定することができます。
当院では体型によって撮影条件のさらなる最適化が必要な次のようなケースにおいてAuto Prescriptionを使用しています。(Fig3)
1)体格が大きい患者様で管電流が最大mAに頭打ちし不足しないように、体格に応じて回転時間やヘリカルピッチの設定を変え適切な線量を出す方法(Fig4)
2)コントラストがつきにくい るい瘦患者様で、適切な線量を出すことでウインドウ幅を絞りコントラストをつけた際に画質を担保する方法(Fig7)
Fig3. Auto Prescription概念図
1)の設定例をFig3に示します。一般的な体格(AP+LAT58cm)の患者様は回転時間0.6秒なのに対し、大きい患者様は回転時間1秒で撮影することでmAの頭打ちを防ぎ画質を担保するようにAuto Prescriptionのプロファイルを設定しました。
その結果、従来CTと比較してmAの頭打ちが起こりやすい大きい体格の患者様において、SDが目標NIに等しく良好な画像を得ることができました。実際に、大動脈弓部~肝臓下縁までのmAを確認すると、従来CTでは頭打ちがおこっているのに対し、AscendではAuto Prescriptionによって自動で回転時間が1秒に変更されたため、頭打ちが起こらず適切なmAを使用することができていることがわかります。(Fig6)
Fig4. Auto Prescription 1)体格に応じてパラメーターの設定を変え適切な線量を出す方法
Fig5. 従来CTとRevolution Ascendでの体格が大きい方の腹部画像
Fig6. Fig4の撮影における管電流の推移(横軸:スライス位置 縦軸:管電流)
大動脈弓部~肝臓下縁までの管電流の推移。従来CTではピッチ1.375、回転時間0.4秒で撮影、通常Ascendではピッチ1.375、回転時間0.6秒で撮影しておりますが今回Auto Prescriptionにより、自動で回転時間1秒が選択されました。従来CTではほぼ頭打ちしていますが、Ascendでは回転時間の自動調整で頭打ちを防ぐことができていることがわかります。
2)の設定例をFig7に示します。一般的な体格(AP+LAT58cm)よりも小さい患者様において通常のNIよりも低いNIが自動で選択されるように”中等度の減少(Moderate Decrease)“を選択しています。これによって、コントラストがつきにくいるい瘦患者様において自動的にNIが低くなるAuto Prescriptionのプロファイルを設定しました。
Fig7. Auto Prescriptionの設定 2)体格に応じてNIを変化させる方法
るい瘦患者様では脂肪が少なく、腹水などを有している場合には特にコントラストがつかないため通常の画像では読影困難な印象がありますが、Auto Prescriptionによって自動的にNIが通常のNIより低くなることでSDが向上し、WWを狭めてコントラストをつけても画質が十分に担保されます。
従来CTでは通常NI9.8で撮影しており小さい患者様にも同様のNIのため、コントラストをあげるためにWWを150に絞るとノイジーに感じられますが、Ascendでは通常NIに対しAuto Prescriptionによって自動的にNIが調整されWWを絞ってもノイズの少ない良好な画像を得ることができています。また、TFIを用いることでさらなるノイズの少ない良好な画像を得ることができています。(Fig8)
Fig8. 従来CTとRevolution Ascendでの体格が小さい方での腹部画像の比較