次世代CT装置を使用した感染症対策Workflowの提案

聖路加国際病院 放射線科 須山 貴之 様
  • 病院紹介

    聖路加国際病院はルドルフ B トイスラー先生によって明治時代に創設され、1世紀以上にわたり東京都中央区にて医療を提供し続けております。2012年以来、国際的な病院評価機構であるJCI(Joint Commission International)の認定を3年毎に受け、世界のトップクラスの病院と同等の医療安全と質の向上に取り組んでおります。また年間1万台以上の救急車受入台数を誇り、集中治療領域が充実した高度急性期病院でありながら、緩和医療や外来診療が中心となる分野までカバーする理想的な総合病院の在り方を追求しております。2014年に学校法人聖路加国際大学の付属施設となったメリットを最大限生かし、従前以上に医療職の教育と最先端の研究を推進し、質が高く、患者さんから信頼される医療の提供に取り組んでおります。

  • DLカメラの使用によるWorkflowの向上

    当院では放射線技師1名、看護師1名の2名体制でCT検査を実施しています。放射線技師がCTの検査にかかわるポジショニングや撮影の実施、看護師は患者さんの確認ならびに造影検査の準備などを行います。
    DLカメラを使用した際のワークフローとDLカメラを使用しなかった際のワークフローを比較検討しました。独立して歩行可能な患者様を対象とし、それぞれのワークフローで10例ずつ実施しました。患者さんが検査テーブルに腰かけた時点を計測開始とし、スカウト用の撮影ボタンを押した時点を計測終了としました。計測した結果はDLカメラを使用することにより、ポジショニングにかかわる時間を15%削減しました。(図1)ポジショニングにかかわる時間の短縮に伴い、放射線技師のCT検査室の滞在時間も13%削減することができました。(図2)現在のCT装置では、撮影自体の時間を10秒程度短縮することは不可能ですが、DLカメラの採用によりスキャン前、特にポジショニングにかかわる時間を短縮することが可能となり、結果として検査全体の時間短縮が可能であると示唆されます。

  • 感染症への対応

    東京都の新型コロナウイルス(COVID−19)感染者数と当院におけるCOVID-19感染症疑い対応検査数の推移を図3に示します。東京都の感染者数の増減に追従して当院のCOVID−19対応CT検査数も増減していることがわかります。緊急事態宣言が解除され第4波となる感染拡大が懸念されている現状において、感染への対応は機器選定における非常に重要な要素であると考えています。COVID−19だけでなくあらゆる感染症への対応の基本として接触時間の短縮が挙げられます。DLカメラによるポジショニングは感染対応に対して非常に効果的であると考えています。COVID-19を疑い感染対策をし検査を行なっているが、感染症を疑っていなかった検査で後からCOVID−19陽性と知らせらるケースを経験すると、あらゆる検査において接触時間を短縮することが今後のCTに望まれるのかもしれません。そこで今回、極端に接触時間を短縮したワークフローを想定した動画を作成しました。(下記QRコード)いくつかの課題はありますが、マイク・スピーカーの位置や注意事項の掲示などを工夫することで技師の検査室内滞在時間を5秒程度に短縮し検査を完結することが可能であることが確認できました。

総括

JB01315JA