Prucka心臓カテーテルモニタリングシステムについて


筑波大学附属病院 医療機器管理センター
副部長 縮 恭一 様
  • 概要

    心臓カテーテル検査において心内の血行動態や病態の把握、心機能を評価する上で、心内圧波形を測定し解析することは重要なことであり、これらの生体情報をモニタリングする医療機器は一般的にポリグラフと呼ばれている。また、不整脈の非薬物治療であるカテーテルアブレーションは多くの施設で実施されており、不整脈治療に必要な検査機器はリアルタイムで心腔内の電位および解析用の電位を計測する機器や3次元マッピング装置や非観血的・観血的動脈圧、心拍数、酸素飽和度などを表示するモ生体情報モニターが必須である。これらの生体情報が常に観察可能なシステムを整える必要があり、各社から様々なポリグラフ装置が販売されている。
    当院で使用している血行動態検査機能とハイエンドのアブレーション治療支援に要求される機能を備えたシステムのPrucka心臓カテーテルモニタリングシステム:ComboLab(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)について紹介する。

    Prucka_tsukuba_02

Mac-Labシステム【血行動態検査・治療】




Mac-Labシステムは血行動態検査に必要な解析・演算・モニタリング等の基本機能に加え、インターベンション治療支援に使用するシステムであり、心臓カテーテル検査で使用する血圧解析や弁口面積の解析、心拍出量(熱希釈式法・Fick法)測定、透視画像を本システムに取り込むことも可能である。さらに検査や治療中にモニタリングする12誘導心電図においてはST変化を開始時に読み込むとST変化が画面にアルタイムに表示されるため安全に検査・治療ができている。また、検査で記録したデータは当院で独自でカスタマイズしたレポート機能を活用して自動作成後にDICOM画像に変換して循環器動画ネットワーク・レポートシステムへ自動転送して循環器サーバーで一括管理をしている。


CardioLabシステム【電気生理学的検査・治療】




CardioLabシステムは最大224極112chの心内電位を含む128chのレコーディング機能や各社のアブレーション装置、心臓刺激装置ならびに3Dマッピング装置とのCARTOインターフェイス機能等、ハイエンドのアブレーション治療支援に要求される機能を備えたシステムである。当院でCardioLabシステムを使用する際、カテーテルアブレーション・植込みデバイス治療で使用している。本装置に搭載されているカーディオICEインターフェイスはCardioLabシステムの画面に超音波診断装置(Vivid-i・S-70)のリアル画像を取り込むことができる。当院では主に穿刺時や肺静脈隔離術(PVI)、心室頻拍症例(VT)においてを超音波診断装置(Vivid-i・S-70)のリアル画像心房中隔穿刺(Brockenbrough)時にLabシステムの画面に表示させ使用している。




また、CardioLabシステムと3Dマッピング装置を連携することができる機能は3Dマッピングで取得したマッピングポイントの位置や電位取得情報、アブレーションしたポイントをラボシステムに反映することができる機能である。







当院ではこの機能を活用し、必ず治療前にラボシステムの時間と3Dマッピング装置の時間を合わせて取り組んでいる。特に心室頻拍(VT)症例においては異常電位(遅延電位・破砕電位)が治療戦略において極めて重要でラボシステムと3Dマッピング装置を連携することで症例中にも重要な電位情報を確認することができるため有用な機能の一つである。さらに前述で述べた通り、本装置はアブレーション通電時に透視画像(正面・側面)を同時にImage Captureされ、症例後の解析にアブレーションのカテーテル焼灼部位の位置や通電情報、3Dマッピングポイントの電位情報やアブレーションポイントが一致するので当院では必要不可欠な機能であると考えている。

不整脈治療は症例によっては時間を多く要する時があり、多チャンネル・長時間のEP検査・治療においても大容量のハードディスクが装備されており問題はなく使用できる。EPにおけるデータ管理は重要であり、記録したデータはSDカードに移して保管が可能でありデータ管理には十分に注意をする必要がある。

終わりに


Prucka心臓カテーテルモニタリングシステムは血行動態検査やインターベンション治療、さらには電気生理学的検査やハイエンドのアブレーション治療まで幅広いニーズに対応するソリューションであり、また検査装置としての基本性能だけでなく、関連機器とのデータ連携や独自でカスタマイズしたレポート機能を活用することにより検査・治療のワークフローを向上することができるハイエンドの装置であることに違いないと考え当院では必要不可欠な装置である。





【参考資料】
1)添付文書 Prucka心臓カテーテルモニタリングシステム(Prucka心臓カテーテルモニタリングシステム:21300BZY00078000)
2)日本循環器学会 /日本不整脈心電学会合同ガイドライン(2021 年 JCS / JHRS ガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈非薬物治療)



※お客様のご使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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