Discovery IQ2.0初期使用経験と臨床価値


医療法人徳洲会岸和田徳洲会病院
放射線科 主任 長谷川 聖二 様

施設紹介

 

岸和田徳洲会病院では、2006年よりデリバリーFDGを使用してPET/CT検査を行っています。デリバリーFDGは、体重当たりの投与量を均一化することが出来ず、検定時間よりも遅い時間にFDG投与し体重の重い方を撮影する事も多々あり、画質を保つために撮影時間の延長などで対応してきました。
2022年6月に、デリバリーのため均一化できない投与量の影響を減らす目的、また近年の診断参考レベル:Diagnostic reference level(DRL)を基準とした被曝線量管理のために投与量を減らす目的もあり、高感度であるDiscovery IQ2.0を導入しました(Fig.1)。

Fig.1 当院に導入したDiscovery IQ2.0

 

当院では早期像撮影後に、撮影担当の診療放射線技師が画像の確認を行い異常集積の有無、SUV測定、後期像撮影の判断なども行っています。
今回、Discovery IQ2.0を導入後に、検査を担当する診療放射線技師の立場から有意義であった症例を経験したので報告します。

 

症例紹介

CT上にて肺野にすりガラス像を認め、PET画像上で淡いながらも集積を認められます(Fig.2)。

 



Fig.2
※Q.Clear、3D-OSEM共にGE社のデフォルト条件で再構成

 

3D-OSEM(従来法)で再構成した画像では、すりガラス像に一致した部位の集積は明らかではありません。Q.Clearを用いて再構成した画像では、淡いながらもすりガラス像に一致した集積が認められます。また、Q.Clearを用いて再構成した画像では、従来法と比べてノイズが低減されています。
すりガラス像部でのSUV測定結果は、従来法でSUVmax 0.69、SUVmean 0.48、Q.ClearでSUVmax 0.81、SUVmean 0.59となっており、Q.Clearで集積は増加しています。
また、すりガラス像の周辺肺野では従来法でSUVmax 0.58、SUVmean 0.43、Q.ClearでSUVmax 0.46、SUVmean 0.39となっており、Q.Clearで集積は低下し、そのピクセル毎のばらつきも抑えられています。

 

従来法では病変部とその周囲においてSUV値の変化量が少なく、集積無しとなっていたものが、Q.Clearでは淡いながらもコントラストが得られて集積として認めるようになりました。

 

従来の装置ではこのような肺野の微細な病変に対しては、CT画像上で確認できる病変部に対してROIを設定し、その周辺に正常部位のROIを設定することによってSUVを比較して読影医に画像を提供していましたが(Fig.3)、この方法では呼吸によるズレなども考慮するとPET画像上で正しいROIを設定できているのか判断に迷うことが多くありました。本症例ではPET画像上で直接SUV測定を行う事ができ、自信を持って読影医に画像を提供でき、高分化腺癌の可能性否定できずという結果になりました。


Fig.3 従来の測定の仕方。
CT上にROIを設定→PET画像上でSUV測定し、病変部と正常部にSUVの差があるかを確認。

 

また、Discovery IQ2.0ではデバイスレスの体動補正であるAdvanced MotionFreeが搭載されており、PET画像とCT画像の位置ずれ軽減、診断精度の向上が期待できます。
上記とは別症例になりますが(Fig.4)、体動補正を行う事で病変部がより明瞭となっているだけでなく、SUV測定結果では体動補正無しでSUVmax 4.06、SUVmean 3.09だったものが、体動補正を行う事によりSUVmax 5.71、SUVmean 4.06とSUVの上昇も認められています。

 



Fig.4

 

まとめ

 

当院のように診療放射線技師1名でPET/CTの撮影、画像の確認(SUV測定、後期像撮影の有無の判断)を行っている場合、撮影の合間などの限られた短い時間でPET画像上に異常集積を見つけられるかが重要となります。
Discovery IQ2.0を導入したことにより、当初の目的である高感度装置であるという目的だけでなく、Q.Clear、Advanced MotionFreeなどの新しい技術により、臨床で使う上で非常に役立っています。

 

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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