ペプチド受容体核医学内用療法(PRRT)における運用の実際


九州大学病院 医療技術部
放射線部門 粟元 伸一 先生

1. PRRTについて

ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍に対するペプチド受容体核医学内用療法(peptide receptor radionuclide therapy: PRRT)であるルテチウムオキソドトレオチド(177Lu-oxodotreotide)が、2021年6月23日に国内で承認され、保険適用となりました。ルテチウムオキソドトレオチドの使用については、尿などの排泄物の厳格な管理と治療中の介護者や公衆への被ばくを考慮し、投与後に1日以上「放射線治療病室」あるいは「特別な措置を講じた病室」へ入院する必要があります。

九州大学病院は、九州地域の中核病院として機能しており、放射線内用療法専用の放射線治療病室を国内でも最大級の6床有しています。これまでは主に甲状腺癌に対する放射性ヨウ素内用療法を中心に治療を行ってきました。2021年にルテチウムオキソドトレオチドの保険適応に伴い、PRRT導入のための準備を進めてきました。そして、2021年12月から当院でもPRRTを実施する運びとなりましたので、その一部をご報告致します。

2. PRRTの流れ

患者が放射線治療病室に入院して最初に、制吐薬の点滴が行われます。それから腎臓被ばく低減のためのアミノ酸輸液の点滴が行われます。アミノ酸輸液点滴開始から30分後にルテチウムオキソドトレオチドの投与が始まります。ルテチウムオキソドトレオチド投与は、バイアル内の薬液を生理食塩水で押し出す形式で投与を行います(図1)。投与終了の確認には投与ルートにサーベイメータを配置して投与ルートの放射線量が十分下がっていることを確認してから投与ルートの切り離しを行います。ルテチウムオキソドトレオチド投与は30分程度で終了し、それ以降はアミノ酸輸液の投与が3時間程続きます。

 


図1 当院でのPRRTの様子
左側点滴スタンド:アミノ酸輸液投与ライン
右側点滴スタンド:ルテチウムオキソドトレオチド投与ライン用生理食塩水
中央部:ルテチウムオキソドトレオチドバイアルとルート測定用サーベイメータ

3. ルテチウムの撮像について

177-ルテチウムは放出されるβ線で腫瘍細胞の治療を行いますが、同時にγ線も放出するため、ガンマカメラでシンチグラム画像を取得することが可能です。これは「セラノスティクス:Theranostics」と言われ、治療(Therapeutics)と診断(Diagnostics)をより密接な関係で行うことが可能です。

当院では2021年度に半導体検出器搭載の全身用SPECT/CT装置であるNM/CT 870 CZT(GE Healthcare)を導入しました(図2)。CZT検出器は250 keVまでのγ線に対応しており、中エネルギー用MEHRS(Medium Energy High Resolution & Sensitivity)コリメータ導入によって111-インジウム等の比較的高いエネルギーの核種が撮像可能です。これまで、PRRT導入に先立ってインジウムペンテトレオチド(111In-pentetreotide)の収集をNM/CT 870 CZTで行ってきました。また、177-ルテチウムに対しても高カウント領域での直線性がアンガー型ガンマカメラより優れていることが報告されています(図3)。

 


図2 装置概観(NM/CT 870 CZT)

 


図3 CZT検出器とNaI検出器の計数率特性
※青色:CZT 黒色:NaI(GE提供資料)

 

ルテチウムオキソドトレオチドを投与された患者は、翌日からシンチグラムを撮像します。そこでルテチウムの被ばく線量評価のため、投与から20時間後と30時間後、48時間後に全身画像、30時間後にはSPECT-CT画像を収集しています(図4)。

 


図4 177-ルテチウム画像(左:全身像 右:SPECT-CT画像)

4. まとめ

当院では神経内分泌腫瘍に対するPRRTの導入に伴い、セラノスティクスの動きが加速してくものと思われます。今後は、177-ルテチウムのイメージングに対するCZT検出器のガンマカメラの有用性をセラノスティクスに活かすことで、臨床に大いに役立つことが期待されます。

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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