ここからは、アンケートの集計結果について報告したい。まずは運用についてで、各施設のCZT以外の保有機を表1に示す。装置を検査の目的や疾患によって使い分けているか、検査の種類によって使い分けているかを問う質問では、3施設とも検査の種類によって使い分けているとの回答であった。検査種ごとに装置を固定したほうが読影がしやすい、予約が組みやすいといった理由があると思われる。
どのような検査をCZTで行っているかの質問では、表2のような回答が得られた。施設Aについては様々な検査を行っていたが、他の2施設はTcを使用した検査が中心であった。これはWEHRコリメータのペネトレーションにより、中エネルギー核種において画質低下を招くことが主な原因と思われた。当院においても中エネルギー領域におけるペネトレーションは装置導入当初からの懸念事項であり、新しいコリメータの開発を要望してきた。しかし半導体という検出器の特性上、解決すべき課題も多かったためか、2年以上の歳月をかけてMEHRSという名称で実用化された。使用核種の問題は、このMEHRSコリメータを導入することで解決されるであろう。ちなみに当院には2019年10月にプロトタイプが導入され、基礎的な検証を行った。結果を2021年9月のGEスマートメールにて、「半導体SPECT用 中エネルギーコリメータMEHRSの使用経験」として上梓しているので興味のある方はご覧いただければ幸いである。
画質補正機能や付加機能をどの程度使用しているかとの質問では、表3のような回答が得られ、特に散乱補正が3施設とも行われていないのが印象的であった。エネルギー分解能が高く散乱成分が従来より少ないことも理由の1つと考えられるが、テール効果の影響によりDEWで行う場合には過補正に注意が必要であることが最大の理由と思われる。CZTにおける散乱補正の手法については、その後学会等において検証結果の報告もされており、核種ごとに最適なパラメータのエビデンスが得られれば今後行われていくものと思われた。
CZTを使用することにどのようなメリットを強く感じているかを問う質問では、リストモード収集が可能であることや、高いCNRにより収集時間が短縮できること、ブレインリーチが短くSPECT回転半径を小さくできることが回答の上位にランクされた。リストモード収集は半導体検出器独特の機能というわけではないが、現在市販されているガンマカメラでは半導体装置にしかリストモード収集機能は搭載されていない。とても有益な機能であるため、今後半導体以外の装置においても搭載されることを期待したい。
装置に対する課題や要望、コメントを自由記述形式で回答してもらったところ、価格が高い、正確な散乱線補正法の開発、ピクセルの補間による画質への影響、リストモードの改良など、多くの回答が得られた。こうした課題や要望はユーザーの努力で解決できるものもあるが、ここで得られた様々な意見はメーカーにフィードバックしたので、今後の開発・改良につなげて頂きたい。
表1 CZT以外の保有機
表2 CZTで行っている検査
表3 画質補正機能・付加機能の使用状況