吸収補正用CTを使いこなす! ~NM/CT850使用経験~


名古屋徳洲会総合病院
放射線科 永岡 隆治 様

施設紹介

名古屋徳洲会総合病院は1986年に開院し、地域救急医療を中心に医療を行っています。2014年の新設移転を契機にダヴィンチロボット手術や植え込み型補助人工心臓、TAVIなどの高度先進医療の提供も可能となりました。また、近隣地区のみならず、岐阜県、三重県の医療過疎地域の重症患者さんの受け入れも積極的に行っています。

 

当院では以前よりRI検査機器の導入を望む声が非常に多く、総合病院という特色から幅広く検査が可能な汎用機であるNM/CT850を2021年6月に新規導入しました。循環器領域では負荷心筋シンチを中心に、頭部領域では脳血流・ダットスキャン、泌尿器科・乳腺外科からは骨シンチなど幅広く検査を行っています。

 

本稿では今回新規導入しましたNM/CT850の初期使用経験を紹介させていただきます。

 


名古屋徳洲会総合病院外観

NM/CT850によるSPECT/CTの有用性

NM/CT850は8列の吸収補正用CTを搭載したSPECT/CT装置となります。当院では吸収補正用CTを有効活用し、骨、心臓、頭等の様々な検査でCT撮影を行っています。今回はその一部をご紹介させて頂きます。

 

 

骨シンチグラフィ
骨シンチグラフィでは全例でSPECT/CT撮影を行っています。吸収補正用CTであるため最大管電流が30mAと聞いており、当初はFusion用のCT画像としての画質に不安もありましたが、期待を超える十分な画質が得られています。また、Smart Consoleを利用することで、骨シンチグラフィで収集するWhole Body画像をCT装置のスカウト画像のように使用してSPECT/CTの収集範囲を設定することができ、非常に操作もしやすいと感じています。また、Fusion画像作成も解析用ワークステーションXelerisでAxial、Sagittal、Coronalを簡単に作成することができるため、日々有用な画像を読影医に提供することが出来ています。

 


30mAのCT画像

 


骨SPECT/CT Fusion画像

 


スマートコンソール画像

 

 

心筋血流シンチグラフィ/ピロリン酸シンチグラフィ
心筋血流シンチグラフィでは吸収補正のためにCT撮影を行っています。CTの吸収補正により、下壁部分の減弱の影響が改善された画像を出力することが出来ます。また、解析用ワークステーションXelerisで吸収補正あり・なしの比較画像を作成し、読影しやすい画像出力に努めています。
ピロリン酸シンチグラフィ検査では通常SPOT像における定量値、定性画像の評価により心アミロイドーシスの鑑別を行いますが、それに加えてSPECT/CTのFusion画像を作成することによって心筋へのピロリン酸の集積をより分かりやすく表示することが可能です。

 




テクネチウム心筋血流シンチグラフィ
上段2つ:吸収補正なしNC、下段2つ:吸収補正あり AC



ピロリン酸シンチグラフィ CT画像とのFusion

 

 

脳血流シンチグラフィ/ドパミントランスポーターシンチグラフィ
脳血流シンチでも吸収補正のためにCT撮影を行っています。従来のChang法では考慮されてないヘッドレストや頭骨による減弱も補正することができ、より正確な脳内分布が得られることが期待できます。また、ドパミントランスポーターシンチグラフィ検査ではCT画像を活用し、頭部のリフォーマット処理時にFusion画像上でCT画像を参照しながら角度調整を行っています。術者間の処理の誤差を減らすことにも、CT画像が役に立っています。

 


ドパミントランスポーターシンチグラフィ CT画像とのFusion

 

 

その他
当院では核医学装置を初めて導入しましたがNM/CT850の操作性も良く、スムーズに運用を開始することが出来ました。導入時の操作トレーニング以外にも、電話越しやコンソールや解析用ワークステーションの画面共有でのサポートにより日々安心して検査を行うことが出来ています。

今後に関して

今後も吸収補正用のCT装置を活用していくことを考えています。SPECT/CT装置ではPET装置で利用されている半定量指標であるSUVも算出することも出来るので、SUVの有効活用等も今後検討していきたいと思います。

 

また、ファントム実験を行い各種収集条件を見直すことによって、より質の高い画像の提供を行っていけるように努めていきたいと思います。

 


鈴木先生(左)、永岡先生(中央)、松尾先生(右)

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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