進化したポケットエコーは在宅医療の現場に欠かせない有用な診断ツールとなる 

※本内容は2024年6月29日より株式会社日本医事新報社の週刊「日本医事新報」及び「Web医事新報」に掲載されたインタビュー記事をもとにしています。元の記事から一部文言を変更している箇所がございます。 

医療法人鳥伝白川会 理事長
ドクターゴン診療所 院長

泰川恵吾 先生

沖縄県宮古島市と神奈川県鎌倉市の2拠点で在宅医療をメインに提供する「ドクターゴン診療所」院長の泰川恵吾先生は、常にポケットエコーを携帯し、多くの患者の診察に活用している。泰川先生は1989年に杏林大医学部を卒業後、救命救急の道に進み、東京女子医大では救命救急センターICU医長を務めた。救命救急を志望する医学生が増え優秀な人材が育ち始めたため、救命救急からの卒業を決意し、生まれ故郷の宮古島で在宅医療を提供するために同院を開設した。高度医療の最前線から在宅医療に活躍の場を移した理由について泰川先生はこう語る。

「ICUで救命した患者さんたちが退院後、どうやって暮らしているのかが気になり始めたことがきっかけです。在宅医療がまだ一般的でなかった当時は、具合の悪い患者さん本人が病院に出向いて受診しなければいけませんでした。高齢の患者さんは、たとえ救命できたとしても後遺症や障害が残るなど元の生活には戻れない方が多く、このまま手放していいのか、というジレンマが強くなる中で、以前から温めていた宮古島で本格的な在宅医療を行う構想を実現するため1997年に開業しました。」

在宅で求められる迅速な判断に役立つ 

過酷な現場で多くの患者を救ってきた泰川先生が目指したのは、外来と遜色のない在宅医療。移動車にエコーや心電図、カウンターショック、外科処置器具など救命処置に必要な機材を積み込み、患家で簡単な手術を行うなど20年以上にわたり質の高い在宅医療を提供してきた。この間における大きなトピックは、高性能なポケットエコーの登場だという。

「ポケットエコーは診察しながらリアルタイムで体の中の動きが見えるので、理学所見で当たりをつけた判断が適切だったのかがすぐに分かります。特に高齢の患者さんは聴診器や触診による見立てが外れてしまうことも少なくありません。正確な診断ではなく、膀胱の残尿量や肺に水が溜まっていることを確認するなど“迅速な判断”をするための重要なツールとして、ポケットエコーは日々の診療に欠かせない存在となっています。」

エコーによる的確な診断で予後が大きく改善 

泰川先生がVscan Airを使い、在宅医療の現場で撮影した画像が下記2点。①は102歳の頚髄損傷で寝たきりの女性の症例。新型コロナウイルスに感染、呼吸不全となったため往診し、胸部にエコーを当てたところ胸膜ラインから深部に伸び、肺の水分含有量が増える時に現れる高輝度線状陰影のBライン(矢印)を確認。在宅酸素療法と抗COVID19薬の投与を開始したことで、呼吸不全が改善、酸素投与も中止することができた。 



これまで肺は空気を多く含む臓器のため、生体内の軟部組織と空気との境界で超音波が100%反射されることからエコーでは評価できないと思われてきた。しかし、超音波画像特有の多重反射像であるアーチファクトが特徴的な像を呈するAラインやBラインのようなケースにおいては、診断に有用な情報として活用できるため、その構造を理解することが大切になる。




 ②は僧帽弁閉鎖不全(MR)と診断した88歳女性の画像。心不全の既往歴を持ち、呼吸不全と下肢の浮腫、収縮期雑音があったため、エコーで確認し、著明な心不全と診断した。利尿剤の投与を継続したところ浮腫と呼吸不全が改善、酸素投与量も毎分2Lから0.5Lに改善した。画像は利尿剤投与により呼吸不全改善後に実施したエコー検査によるもの。左心房の拡大や僧帽弁閉鎖不全(MR)が認められた。 

①Bライン(COVID-19感染後の呼吸不全遷延症例) 102歳女性 

診断:頚髄損傷で寝たきり。R6年3月にCOVID-19感染。呼吸不全となりエコーでBライン確認

対応:在宅酸素と抗COVID-19薬の投与を開始

予後:呼吸不全が改善して、酸素投与終了

②MR(僧帽弁閉鎖不全) 88歳女性 

診断:心不全の既往歴、呼吸不全と下肢の浮腫、収縮期雑音あり。エコーで著明な心不全

対応:利尿剤の継続で改善、呼吸不全著明に改善

予後:利尿剤継続、在宅酸素2L→0.5Lに改善 

ポケットエコーは在宅医療の質を向上させる 

泰川先生は在宅医療の現場でエコーの活用がより進むよう、全国から研修医を積極的に受け入れるなど後進の育成に力を入れている。

「エコーを使いこなすには訓練が必要ですが、自分のものにできれば診断の幅がぐっと広がります。今ではポケットエコーが普及し、価格的にも身近になったので一人でも多くの先生にエコーを活用してほしいと考えています。エコーの使い方にセオリーはなく、聴診器のように使って、自分流の診断術を作っていくことが大切だと思います。」
 
1. ※使用者の経験に基づく記載であり、GEヘルスケア・ジャパン株式会社が仕様値として保証するものではありません。
製造販売:製造販売:GE ヘルスケア・ジャパン株式会社
販売名称:汎用超音波画像診断装置 Vscan Air
医療機器認証番号:303ACBZX00012000
Vscan Air CLの“CL”は上記医療機器の類型名(CLプローブ)です。
2. Vscan Air SLの“SL”は上記医療機器の類型名(SLプローブ)です。
GEは、商標ライセンス下で使用されるGeneral Electric Companyの商標です。Vscanは、GE HealthCareの商標です。
写真の携帯端末はVscan Air一式には含まれておりません。適応モバイル端末には仕様上の必須要件があります。詳細は弊社までお問い合わせください。

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