アジア初号機!Omni Legend 32 の基本性能と臨床利用の実際


社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院
山岸 慎 様

あらすじ~前号より~

 

※前号:アジア初号機!Omni Legend 32を導入するにあたって

当院は、Discovery610(D610)とDiscovery600(D600)の2台体制でPET検査を行っていましたが、稼働10年を超えたD600の更新として、2022年12月にOmni Legend 32が導入されました。
本装置は、BGOシンチレータとシリコン光電子増倍管を組み合わせた全く新しい検出器(Digital-BGO)と32cmの軸方向大視野により、高空間分解能と超高感度を実現した最新のPET/CT 装置です。D610との画質や収集時間の違いから、現在は1日12件前後の検査のほぼ全てをOmni Legend 32の1台で行っています。

 


図1. Omni Legend 32 外観

図2. Discovery610 外観

 

Omni Legend 32の仕様を表1に示します。本装置の実力を検証するために実施した性能評価や、適切な収集条件の検討、この装置の特徴を生かした撮影方法について、当院での取り組みをご紹介いたします。

 

表1. Omni Legend 32 の仕様(GEヘルスケア提供資料より)

 

性能評価と収集条件の検討

 

― 性能評価 ―
NEMA NU 2-2018に準じて、画質、感度、空間分解能、計数率特性について性能評価を実施しました。その結果、システム感度は 0cm offset 47.30[cps/kBq]、10cm offset 47.05[cps/kBq]、空間分解能は Radial, Tangential, Axial のFWHM[mm]がOSEM再構成@1cmで3.89, 3.73, 3.61 、@10cmで5.10, 3.90, 3.76、計数率特性は、Peak NECR 501.7[kcps], Peak NECR activity 15.70[kBq/ml]、 Scatter fraction at Peak NECR 35.42[%]でした。実測値はいずれもメーカー基準値をクリアしていました(表2, 表3)。他の装置と感度を比較してみると、Omni Legend 32はD610の5倍以上、Discovery MI-25の倍以上の感度を有しているのがわかります(図3、GEヘルスケア資料より)。

 

表2. 実測値と基準値の比較(画質)

 

表3. 実測値と基準値の比較

図3. 装置間の感度比較(GEヘルスケア資料含む)

 

 

― 収集条件の検討 ―
臨床に用いる収集条件は、核医学会が定める「18F-FDGを用いた全身PET撮像のためのファントム試験手順書」に準じたNEMA IEC Bodyファントムによる物理評価と、実際に診断するPET核医学専門医師の視覚評価(図4、図5)により決定しました。運用開始当初は、1bed 120秒撮像、Q.Clear β400で再構成を行っていましたが、収集時間をもう少し短く出来るのではないかと考え再検討し1bed 90秒撮像、Q.Clear β500の再構成としました。Precision DL(PDL)は、元の画像の特徴を大きく変えずにノイズが除去できるMediumを使用しています。

 


図4. 撮像時間90s

図5. 撮像時間120s

 

下肢スクリーニングPET

 

当院では、臨床情報などから下肢に病変疑われる患者様に対して、読影医の指示によって下肢全長のPET撮影を追加しています。D600、D610では、1bed 60秒の約6~7bed、7分程の撮影を行うため、下肢全長撮影の指示があると検査時間配分がタイトになり運用に苦慮していました。

しかし、高感度のOmni Legend 32での下肢PET撮影を検討する中で、Q.Clearのβ値やPDLを適切に設定することで、1bed 20秒の短時間撮像で目的の病変を検出するには十分な画像が得られることがわかりました。そこで、1bed 20秒を3bed、合計1分撮影の下肢スクリーニングプランを作成し日常診療に使用しています。これにより1台体制であってもその後のスケジュールが遅滞することなく下肢全長撮影を追加することが可能となりました。
D610とOmni Legend 32 の下肢PET撮影プロトコルを表4に、PET画像を図6、図7に示します。

 

表4. 下肢PET撮影のプロトコル

 


図6. Omniで撮影1bed 20s
Total Time: 1min

図7. D610で撮影1bed 60s
Total Time: 7min

 

息止めPET(BH_PET)

 

下肺野や上腹部の病変の正確なPET/CT診断には、CTとPETのミスレジストレーションを減らす事が重要です。D610使用時は、呼気息止めCT撮影と呼吸同期PET撮像(Q-Static)の組み合わせ、あるいはバリアン社の呼吸同期システムを用いてCTとPETの両方を呼吸同期する撮像(Motion Match)を行っていますが、いずれも呼吸検出のためのデバイスの使用が必須で手間がかかります。これに対し、Omni Legend 32 ではデバイスを用いないAdvanced Motion Free(AMF)が可能で、簡便に呼吸同期PET撮像が行えるようになりました。AMFをルーチンに用いることで呼吸性移動によるPET画像のアーチファクトは大幅に改善されましたが、CTとのミスレジストレーションは一部の患者様でみられます。そこで、PETとCTのずれが予想される病変に対して、「息止めPET/CT」といういわば古典的な撮影方法について高感度な新しい装置での実用性を試しています。読影医が事前のCT等から判断しあらかじめ指示された病変に対し、AMFありの通常PET撮影終了後に連続して、最大吸気息止めCTと最大吸気20秒息止めPET撮像を行います。20秒の短時間PET撮影でも小さな病変の集積評価が可能です。撮影条件を表5に、当院で施行したBH_PETの有用性を示した症例を図8に紹介します。

 

表5. 撮影プロトコル

 


図8. 症例2 上段 AMF、下段息止めPET/CT

 

症例:BH_PETを施行する事によって、AMF_PETでは不明瞭であった集積が確認できた。

 

まとめ

 

Omni Legend 32の導入により、当院のFDG-PET/CT検査の運用が大きく変わりました。高感度・32cmの広い軸方向視野の本装置は、通常のルーチン撮影や上記の内容の他にも小児の鎮静下での検査などにも大きな恩恵を与えています。

まだまだ可能性を秘めているOmni Legend 32 の性能をより深く理解し、患者様に対してはより優しい検査を、診断医に対してはより正確な診断情報を提供できるよう、今後も検討をすすめていきたいと思います。

 

※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。

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